COLUMN
001
エンブレム問題を考える
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレムを巡る一連の騒動は、現代のグラフィックデザインが直面する問題をさまざまな角度から浮き彫りにした。本企画では現代のデザインをめぐる生産的な議論に向け,「エンブレム問題」に関連する批評的議論や歴史資料を紹介していきたい。(不定期更新)
 

01|旧エンブレム選考過程に関する調査報告書(全文)

2015.12.21


2015年12月18日(金),旧エンブレム選考過程に関する調査報告についての記者会見が開かれた。ここに配布された印刷資料のうち,旧エンブレム選考過程に関する調査報告書の全文をテキストに打ち直し,公開する。


旧エンブレム調査について

1 調査概要

(1)外部有識者調査チームについて

鵜川正樹(公認会計士青山学院大学特任教授)
森本哲也(弁護士、元東京地検検事)
山本浩(法政大学スポーツ健康学部教授、スポーツ評論家)
和田衛(弁護士、元東京地検検事)

(2)検証方法の概要

①メール、DVD等の関係資料検証
②関係者のヒアリング(文書回答も含む)
調査対象は、関係した組織委員会職員(元職員も含む)、審査委員、事前送付されたデザイナー等。合計延べ27人、ヒアリング時間は約32時間。

(3)調査範囲

参加要請文書の事前送付から入選作品の決定までの経緯について

2 判明した主な事実

(1)1次審査(104名→37名)において、事前参加要請した8名のうち2名に対して不適切な投票があり、結果8名全員が1次通過した。
(2)一方で、2次審査以降は適切に審査が行われた。
(3)したがって、佐野氏作品も含めた入選作品決定の結論に影響を与えた事実はない。
(4)上記の投票は、マーケティング局長などの公正さや透明性の認識の欠如が原因となり行われた。

以上


資料6-2

旧エンブレム選考過程に関する調査報告書
(事前参加要請と審査結果の関係について)

平成27年12月18日
(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会
組織委員会

はじめに

○2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の旧エンブレム策定に関する一連の問題につきましては、組織委員会として、検証し、反省すべ取り下げに至る経緯、当時の考え方を調査・き点を整理して報告書としてまとめ、9月28日の第8回理事会で報告いたしました。

○報告書では、策定の考え方、選考過程、発表から取り下げに至る経緯について、幅広く検証し、様々な反省点を浮かび上がらせることができました。

○しかし、その検証の過程で、一部のデザイナー8名に参加要請文書を公募前に送付した事実が判明し、加えて入選者3名はいずれもこの8名に含まれていたことが明らかになりました。

○組織委員会では、この事前参加要請と審査結果の関係については、さらなる調査を行わないと適切な検証が出来たこととならないと判断、民間有識者による調査チームの協力を得て、この関係についての検証を継続することとしました。

○調査チームは関係者の聞取り調査を中心に活動を行い、調査結果を取りまとめました。これに組織委員会としての考察を加え、本報告書を作成しました。

○現在組織委員会では、次のエンブレム選考をすでに開始しておりますが、本報告書で得られた反省を活かして、国民の皆様に愛される新たなエンブレムを策定すると共に、今後の組織運営に今回の教訓を取り入れていく所存です。

平成27年12月18日
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
事務総長 武藤 敏郎

目次

1 調査概要
2 公募・審査の経緯
3 調査チームによる報告
(1)8名のデザイナーに対する参加要請文書の発出
(2)参加要請と優遇措置の有無
(3)参加要請と当選作品決定への影響
(4)調査範囲外の事項
(5)結び
4 組織委員会所見

1 調査概要

(1)外部有識者について

外部有識者については以下の方に委嘱し調査を行った。(敬称略)

鵜川正樹(公認会計士 青山学院大学特任教授)
森本哲也(弁護士、元東京地検検事)
山本 浩(法政大学スポーツ健康学部教授、スポーツ評論家)
和田 衛(弁護士、元東京地検検事)

(2)検証方法の概要

① 関係資料の検証

組織委員会に保管、若しく関係者に協力依頼をし、任意で提出されたエンブレム審査に係る資料(メール、映像資料を含む)について検証分析を行った。

② 関係者のヒアリング(文書回答も含む)

今回の調査の対象については、関係した組織委員会職員(元職員も含む)をはじめ、審査委員、参加要請文を事前送付されたデザイナ一等に対してヒアリングを行った。
これまでヒアリング対象者は、合計延べ27人、ヒアリング時間は約32時間である。

(3)調査内容について

① 調査範囲

参加要請文書の事前送付から入選作品の決定まで、の経緯について

② 調査事項

以下の項目について検証した。
・8名のデザイナーに対する参加要請文書の発出
・参加要請と優遇措置の有無
・参加要請と当選作品決定への影響

2 公募・審査の経緯

※9月28日理事会資料「旧エンブレム策定にかかる反省点について(報告)より再掲

これまでの公募・審査の経緯については以下のとおりである。

2014年

9月9日 8名のデザイナーに参加要請文書送付
9月12日 エンブレム公募について、理事会報告後、発表
9月18日頃 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)などに募集協力依頼。海外にも依頼
10月10日 正午 エントリー締め切り
・135名から参加申請。有資格者119名を確認
11月11日 応募締切り 104作品提出
・秘匿性を確保するため、提出された作品包みに対して直ちに番号貼付。以後、番号による管理を実施
11月17日【審査一日目】
・テーブルに全104作品、展開案・製作意図を表現したパネルを、名前を伏せて配置
・各委員が、チップを置き投票。投票の少ない作品を落とす
・104作品から37作品に絞り、続いて14作品に絞りこむ
11月18日【審査二日目】
・14作品を4作品に絞り、これについて審査委員全員で議論し、入選者1位、2位、3位を決定。
12月9日エンブレム案をIOCへ。登録商標のための事前準
備を開始。
12月16日 IOCから「類似する商標が複数確認された」との連絡。
12月17日以降 商標登録に向けた修正作業を実施

2015年

4月7日 組織委員会幹部に最終修正案を報告
4月27日 IOCの承認・国際商標調査開始
4月~7月 審査委員に説明・承諾(ただし、1名は不承諾)
7月24日 エンブレム発表

3 調査チームによる報告

(1)8名のデザイナーに対する参加要請文書の発出

①事実経過

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)は、2014年9月12日(以下において、西暦を省略している日付はすべて2014年である。)、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)のエンブレム(以下「大会エンブレム」という。)を公募する旨公表し、応募資格、応募方法、審査委員の氏名等を明記した応募要項をホームページ上で公開した。
公募の応募資格は、組織委員会が指定する著名な7つのデザイン賞のうち2種類以上を受賞した実績を有する者に限定され、プロ中のプロによるコンペティションにより大会エンブレムを選定することとされた。
大会エンブレム選定の責任者である組織委員会マーケティング局の槙英俊局長(以下「マーケティング局長」という。)は、条件付き公募方式を公表する数か月前から、大会エンブレムの選定方法について、グラフィックデザイン界の権威である永井一正審査委員代表(以下「審査委員代表」という。)の指導を仰いでいた。
これまで長年にわたり日本のグラフィックデザイン界をリードしてきた審査委員代表は、最高レベルのデザイナー少数が競い合う指名コンペティションによって大会エンブレムを選定すべきであるとの意見を強く持っていた。これは、1964年東京大会及び1972年札幌大会の各エンブレムがいずれも当時の最高レベルのデザイナー少数による指名コンペティション方式により選定され、それらが高い評価を受け、これを機に日本のデザイン界が発展してきたことや、近年の大会エンブレムは、造形的な優美さやコンセプトの秀逸さだけでなく、様々なメディアでの使用を前提とした汎用性や機能性を兼ね備えていなければならず、その作成には高度の専門性が要求されることに鑑みた判断であった。
他方、国際オリンピック委員会(以下「IOC」という。)は、組織委員会に対し、大会エンブレムの展開等の現実的な作業を考えると1998年長野大会等と同じくデザイン会社への発注が望ましい旨の意見を述べていた。
このような意見がある中で、マーケティング局長は、オリンピック・パラリンピックが国民の高い関心を集める国家的事業である以上、その象徴となる大会エンブレムの選定に当たっては、閉鎖的との印象を与えかねない指名コンペティション方式や特定のデザイン会社への発注ではなく、開かれた公募方式が適切であると考え、審査委員代表や高崎卓馬組織委員会クリエイティブ・ディレクター(以下「クリエイティブ・ディレクターjという。)との協議を経て、応募資格を一定の実績を有するデザイナーに限定した条件付き公募によるコンペティションを実施することを決定した。
ところが、審査委員代表は、応募資格を一定の実績を有するデザイナーに限定したとしても、公募という形式を採ると、日本のデザイン界の最高レベルのデザイナーが競い合うコンペティションを実現できなくなるとの危惧を抱いていた。この危惧は、応募資格を限定しても有資格者は多く、大勢が参加するコンペティションになると、いかにオリンピック・パラリンピックのエンブレムを選定するという重要なコンペティションであっても、指名されて仕事をすることが通常である日本を代表するデザイナーは参加を控える可能性があるとの考えに基づくものであった。
マーケティング局長は、このような審査委員代表の危惧を踏まえて、審査委員代表及びクリエイティブ・ディレクターと協議の上、審査委員代表が現在の日本のグラフィックデザイン界において最高レベルの実力を有している者として選定した6名(この6名に佐野研二郎氏が含まれている。)と、広告業界で数々の業績を残し、デザインとその展開手法に通じているクリエイティブ・ディレクターが選定した2名の合計8名のデザイナー(いずれも応募資格を有する者)に対し、大会エンブレム選定コンペティションへの参加を強く要請する文書を送付することに決めた。
そして、マーケティング局長は、自らの責任において、自己の業務を手伝っていた者1名(以下「補助者」という。)に指示して、応募要項公開の3目前、前記8名のデザイナーに対し、審査委員代表とクリエイティブ・ディレクターの連名による参加要請文書を送付した。
この8名のデザイナーに参加要請をした事実は、その後に公開された応募要項に記載されておらず、組織委員会の広報でも一切公表されなかった。

②調査チームの意見

このように、今回の参加要請文書の送付は、日本有数のデザイナーが競い合うことで最高の大会エンブレムを選定し、これによって日本のデザイン界の実力を世界に示したいという審査委員代表の熱い思いから出たものであり、その経緯には汲むべき事情がある。
しかし、組織委員会が指定した著名なデザイン賞の複数回受賞という客観的基準を設定し、実績あるプロに広く聞かれたコンペティションを実施するとしていながら、他方で、審査委員代表やクリエイティブ・ディレクターの主観により、多数の応募資格者の中から少数のデザイナーを選定し、審査委員代表とクリエイティブ・ディレクターの署名を付した文書を公募発表の前に秘密裏に送付したことは、これが後に応募者等の知るところとなった場合には、大会エンブレム選定に当たり何らかの情実が働いていたのではないか、参加要請文書を受け取ったデザイナーには優遇措置が与えられたのではないかといった疑念を招くおそれが極めて高い行為であって、公正性や透明性が要求される大会エンブレムの選定手続としては不適切であったといわざるを得ない。

(2)参加要請と優遇措置の有無

①事実経過

ア 審査委員代表及びクリエイティブ・ディレクターを含む8名の審査委員で構成される大会エンブレム審査委員会は、11月17日及び同月18日の2日間にわたり、審査を実施した。
マーケティング局長及びクリエイティブ・ディレクターは、これに先立ち、審査方法について、審査委員代表と協議していたが、その過程において、審査委員代表から、参加要請した8名全員を自動的に2次審査に進めるよう要望されていた。
審査委員代表は、前記のとおり、大会エンブレムの選定において日本のデザイン界の力を誇示して、更なる発展の契機となることを熱望していた。そして、現代の日本のグラフィックデザイン界の最高レベルにあるデザイナーは非常に限られており、そのようなデザイナーが参加要請に応えて出品してくれたとしても、1次審査では100点を超える多数の作品が審査対象となり、参加要請対象者の作品について時間をかけた本格的な審査ができないことが予想された。審査委員代表は、参加要請対象者の作品を正当に評価するためには、これらの作品を無条件で2次審査に進めて、審査対象作品を絞った上で、慎重に審査すべきであるとの意向を持っていた。
マーケティング局長は、審査委員代表の意向を無視すれば審査の円滑な進行に支障が生じかねないと判断し、参加要請対象者の作品については、何らかの特別な取扱いが必要になると考えるに至った。

イ マーケティング局長は、補助者に指示して、11月5日、審査委員全員に対し、「エンブレム審査会のご案内」と題する文書を電子メールで送付した。その文書には、審査会の開催場所や日時の案内文に加えて、審査方法を記載した書類も含まれていた。
この審査方法の説明書類には、1次審査に関し、仮に1次審査に要求される2票以上の投票を得ていない作品であっても、審査委員がどうしてもこの作品を2次審査に残したいと希望した場合には、その審査委員が推薦し、審査委員全員で議論の上、過半数が承認したときは、2次審査に残す旨記載されていた。
そして、前記記載に続き、赤い文字で以下の記載がなされていた。
「組織委員会では、
・最低限の応募者数を確保するため
・応募作品のクオリティを上げるため
上記2点の理由から、8名の方に参加要請をいたしました。
これらの方々の作品に関して、2次審査へ残っていない場合は、翌日の審査へ進むべきか議論します。」
このように、1次審査において所定の票数を得られなかった作品を2次審査に残すためには、審査委員の推薦により審査委員全員で議論し、過半数が承認することが要求されていたのに対し、8名の参加要請対象者の作品については、審査委員からの推薦がなくても2次審査に残すべきか否かの議論の対象にするという点と、必ずしも審査委員過半数の承認が要求されないという点で、特別な取扱いをすることが想定されていた。
また、審査方法に関する前記説明書類には、審査委員の投票方法について、作者名を伏せ、作品番号のみが記載された作品リストを各審査委員に配布し、審査委員が次の審査に残すべきと判断した作品の欄に○を記入するという方法で実施する旨が記載されていた。

ウ 間もなくして、審査委員代表は、補助者に対し、11月5日に審査委員全員に送付された前記説明書類の記載内容に関する要望事項を電子メールで、提示した。
この電子メールには、参加要請対象者8名の作品について、議論をすることなく翌日の審査に残されたいとの記載がなされていたほか、審査委員の投票方法についても、審査委員ごとに色分けされたプラスチック製の札を作品の脇に置く方法に変更してほしい旨が記載されていた。
補助者は、これらの要望事項について、マーケティング局長及びクリエイティブ・ディレクターと協議した上で、11月10日、審査委員代表に対し、電子メールで回答した。この電子メールは、マーケティング局長及びクリエイティブ・ディレクターに対しても「Cc:」で送信された。
補助者は、この電子メールにおいて、参加要請対象者8名の作品の取扱いに関し、「8名の方は実力からいっても問題なく一次を通過されると思っておりますが、万一の場合は、自然な形で翌日の審査に残す議論の俎上に乗せ、通過させる算段を取らせていただく予定にしております。」と記載した。また、補助者は、投票方法について、要望どおりプラスチック製の札を置く方式に変更する旨回答し、当該変更が反映された審査委員向けの説明資料も添付ファイルの形式で併せて送信した。この変更後の説明資料においても、2票を獲得できなかった作品や8名の参加要請対象者の作品の取扱いは、従前どおりに記載されていた。
なお、マーケティング局長は、変更後の投票方法(色付きプラスチック札を作品の脇に置く方法)を反映した審査委員向けの説明資料については、審査委員代表及びクリエイティブ・ディレクターを除く6名の審査委員に対して事前に電子メールで送付することはせずに、11月17日の審査日初日の当日に各審査委員に配布することとした。

エ 前記のとおり、審査においては、公正性を担保するため、各応募作品の制作者の氏名を審査委員に明らかにしないこととされていたため、各作品の制作者に関する情報は、極秘事項とされ、組織委員会の職員の間でもごく限られた者しか把握していないものであった。マーケティング局長及び補助者は、業務遂行上の必要性から、この極秘事項を把握していた。
補助者は、審査日初日の4日前である11月13日、審査委員でもあるクリエイティブ・ディレクターに対し、作品番号、エントリー番号、制作者名等が記載され、かつ、8名の参加要請対象者の作品番号が黄色く塗られた一覧表を電子メールに添付して送信した。この電子メールは、同時に、マーケティング局長にも送信され、本文には、「エントリーされた人のリストです。8名の招待者については作品NO.のセルを黄色くしてあります。このリストは高崎さんと槙さんと私しか持っていません。」と記載されていた。

オ マーケティング局長とクリエイティブ・ディレクターは、審査日初日、具体的な審査に入る前、審査委員に対し、約30分間にわたり、審査についての共通認識を持つためのオリエンテーションを実施した。このオリエンテーションでは、過去のオリンピック・パラリンピックのエンブレムの紹介、エンブレムには汎用性や展開性が要求されることの説明、当日の審査方法に関する説明等が行われた。審査方法は、1次審査については、審査対象作品104点に対して、各審査委員が20枚のプラスチック札(審査委員ごとに色が異なる。)を持ち、自己の札を同一作品に累積投票することはできない、与えられた20枚の札を必ずしも使い切る必要はないというルールのもとで投票し、2票以上の票を得た作品が2次審査に進むというものであった。
他方、参加要請対象者の存在やその取扱いについては、前記修正後の説明資料が各審査委員に配布されたのみで、口頭による説明は一切行われなかった。
なお、今回の調査の過程において、審査当時、参加要請対象者の存在すら認識していなかった審査委員が複数存在することが判明した。

カ マーケティング局長とクリエイティブ・ディレクターは、審査委員代表がかねてより8名の参加要請対象者を無条件で2次審査に進めてほしいとの意向を表明していたことから、8名の作品を議論なしに2次審査に進めることを画策した。マーケティング局長とクリエイティブ・ディレクターは、1次審査通過に必要な投票数が2票であること、審査を運営するマーケティング局長や補助者だけでなく、審査委員の一人でもあるクリエイティブ・ディレクターが8名の作品番号を知っていること、投票方法がプラスチック札を置くという方法に変更になっており、各作品への投票数の途中経過が把握できることを利用すれば、議論を経ることなく8名の作品を2次審査に進めることができると考えた。
投票が始まると、クリエイティブ・ディレクターは、自身に与えられた20票を使って、参加要請対象者8名の作品のうちの7名の作品には1票を投じた。残り1名の作品にはl票を投じていないが、この作品については、投票開始の早い段階で2票を超える多くの票が投じられていたという事情が認められる。
1次審査の投票締切り時間が迫ったとき、マーケティング局長は、参加要請対象者8名の作品の集票状況から、8名のうち2名の作品にはクリエイティブ・ディレクターの1票しか投じられておらず、このままでは、議論を経ることなく8名の作品を2次審査に進めるという審査委員代表の意向を実現することが困難な状況になっていることを知った。
そこで、マーケティング局長とクリエイティブ・ディレクターは、20票のうち10票を投じただけで投票を終えて椅子に座り雑談していた審査委員代表に対し、参加要請対象者8名のうち2名の作品が2票に満たない旨を囁いた。
クリエイティブ・ディレクターは、事情を理解した審査委員代表を連れて、該当する2作品の前に赴き、該当作品を次々と指差しして特定した。これと同時に、マーケティング局長は、審査委員代表用のプラスチック札が入ったケースを持参して、審査委員代表に渡し、審査委員代表は自己のプラスチック札をクリエイティブ・ディレクターが指示した2作品に次々と投票した。その結果、8名の参加要請対象者の作品には最低2票が投じられたことになり、8名の作品の1次審査通過が確定した。

キ これらの事実関係は、関係者からのヒアリング結果、これらの方から提出を受けた電子メール、前記2票が投じられた前後の状況も含めて審査委員の投票行動が記録されていたDVD映像の検証から、認定できた。

②調査チームの意見

ア 著名なデザイン賞の複数回受賞という客観的基準により応募資格を限定したコンペティションにおいて、多数の応募資格者の中から審査委員代表らの主観により選定した8名のみに対して前記のような優遇措置を講じようとしたこと自体、不適切である。
これに加えて、参加要請の事実やその取扱いについて、審査委員代表とクリエイティブ・ディレクターを除く審査委員6名に対し、十分な説明を行わなかった点も不適切というほかない。審査日当日に口頭による説明を行っていれば、6名の審査委員の中から、参加要請者に対する取扱いについて様々な意見が出て、前記不正行為が防止できた可能性がある。

イ 応募作品の作品番号と制作者の氏名を明記した一覧表については、審査手続を統括するマーケティング局長やその補助者が保有することはやむを得ないことではあるが、審査委員でもあるクリエイティブ・ディレクターが他の審査委員には秘匿されている厳秘情報を把握していたことは、審査の公正性に対する重大な疑義を生じさせるものであり、極めて不適切である。

ウ マーケティング局長やクリエイティブ・ディレクターが、投票状況を踏まえて、参加要請対象者の2作品についてのみ、秘密裏に審査委員代表に耳打ちして、追加で投票させた行為は、いわば隠れシードを行ったものであり、明らかな不正である。公明正大さが要求される国家的事業であるオリンピック・パラリンピックを象徴する大会エンブレムの選定過程において、このような不正が担当部局の長の関与のもとで実行されたことは、誠に嘆かわしい事態であるといわねばならない。

(3)参加要請と当選作品決定への影響

①1次審査について

1次審査では、104作品のうち37作品が2次審査に進んだ。審査委員代表の前記行為により2作品が通過しているが、審査委員代表はすべての票を行使しておらず、20票中12票を行使したにとどまることからすれば、審査委員代表の行為で、他の作品の1次審査通過が妨げられたという関係にはない。
クリエイティブ・ディレクターは、20票すべてを行使しており、参加要請対象者8名の作品のうち7名の作品に各1票を投じていたことを考えると、参加要請対象者を優先的に通過させるとの判断に基づいたクリエイティブ・ディレクターの行為のために2票に及ばず、1次審査を通過しなかった作品が存した可能性は、当然に残る。
ただし、1票しか得られなかった作品のうち4作品については、その1票を投じた審査委員が2次審査に残したい旨の意見を述べ、審査委員全員の協議を経て、過半数の賛成により、2次審査に進んでいる。これは、マーケティング局長やクリエイティブ・ディレクターによる前記不正行為とは無関係の正常かつ正当な審査手続である。

②2次審査について

2次審査においても、各審査委員に与えられるプラスチック札の数が10枚に減少した点を除くと1次審査の方法と同様の方法で投票が行われた。
事前に審査委員に配られた説明書類では、4枚のプラスチック札が置かれた作品を議論の対象作品にすることになっていた。ただし、札が4枚以上置かれた作品が10作品程度を超える場合には、札が5枚以上置かれた作品を議論の対象作品として残すこととし、各審査委員において、残らなかった作品のうち、どうしても議論の対象作品として残したいものがあるときには、当該作品を自ら推薦し、審査委員の過半数が承認すれば、例外的に議論の対象作品として残すこととされていた。
2次審査については、審査委員代表から、参加要請対象者の作品を特別扱いすべきとの意見は全く出されておらず、マーケティング局長やクリエイティブ・ディレクターも、参加要請対象者の作品について何らかの特別な配慮をするといった議論をしていない。審査状況や関係者の電子メールなどを精査した結果、何らかの工作が行われた形跡も認められなかった。
2次審査により、37作品中、14作品が残った。投票結果は、6票2作品、5票3作品、4票が0作品、3票が8作品であり、4票で線を引くと5作品となってしまうため、3票を基準として、次の審査に残す作品を選定することになった。
3票以上の13作品について、2票の1作品に加えて、審査委員から次の審査に残したいとの推薦があり、審査委員全員による議論の結果、この作品も含めた14作品が2次審査を通過した。
審査委員代表がマーケティング局長やクリエイティブ・ディレクターから促されて追加で票を投じたことにより1次審査を通過した2作品、参加要請対象者8名の作品のうちクリエイティブ・ディレクターによる1票とクリエイティブ・ディレクター及び審査委員代表以外の審査委員による1票の合計2票で1次審査を通過した1作品、1次審査において1票を投じた審査委員の推薦で2次審査に残った4作品のいずれも2次審査を通過しなかった。

③審査日2日目の最終審査について

前日の審査を通過した14作品の中から、審査委員各自が最も優れていると考える1作品の番号を無記名により紙に記載するという方法で、審査委員全員による議論の対象にすべき作品を絞り込む作業が行われた。その結果、8名の票は、4作品にのみ投じられ、残りの10作品には票も投じられなかった。
この結果を受けて、選ばれた4作品のいずれを当選作品とするか、長時間にわたって、審査委員8名により喧々諤々の議論が交わされた。その結果、最多の票を集めていた作品(審査当時、制作者名は秘匿されていたが、以下では、便宜上、「佐野氏作品」という。)の優位性を主張する4名の審査委員の意見に他の審査委員も同調し、全員一致の形で、佐野氏作品が大会エンブレム候補として決定された。
なお、佐野氏作品は、1次審査、2次審査及び最終投票のすべての審査過程を通じて、得票数が最多であった。

④結論

1次審査における不正は、あくまで、1次審査限りにおいて、審査委員代表及びクリエイティブ・ディレクター以外の審査委員が一切関知しないところで秘密裏に行われたものであるから、これがその後の審査に影響を及ぼした事実はなく、佐野氏作品を大会エンブレム候補として決定するという結論に影響を与えたとは認められない。
したがって、関係者の電子メールの精査結果、関係者のヒアリング結果、各審査委員の投票行動の検証結果から認められる事実関係からすれば、「佐野氏作品を当選作品とすることが予め決まっていた出来レースであった。」という批判は当たらない。なお、審査委員代表は、佐野氏を参加要請対象者に選んだのは、佐野氏は、日本のグラフィックデザイン界において最高の栄誉の1つとされる亀倉雄策賞の直近の受賞者であり、日本で最も力のある若手デザイナーの一人であると考えたためである旨述べており、そのこと自体に不合理な点は見当たらない。
また、各参加要請対象者は、参加要請対象者が8名であることすら知らされておらず、参加要請文書を受け取ったこと以外は、その他の応募者と全く同一の手続を経て、作品を提出している。
加えて、参加要請対象者は、審査委員代表が1次審査については参加要請対象者を無条件で通過させるとの考えを持っていたことも一切知らされていなかった。審査委員の中には、参加要請文書発出以降、審査日までの間に、大会エンブレムとは全く無関係の業務に関連して、参加要請対象者と接触した事実が認められる者が存在するが、大会エンブレム選定に関して、不適切なやり取りがあったと認めるに足りる証拠は一切存在しなかった。

(4)調査範囲外の事項

今回の調査範囲は、参加要請文書発出に至る経緯から参加要請が審査に与えた影響までである。しかし、調査の過程を通じて判明した事実を踏まえて調査チームが考察した結果を公表することは、大会エンブレムの再選定を含む組織委員会の運営を考える上で無意味ではないと思われるので、既に公表済みの報告書(「旧エンブレム策定にかかる反省点について(報告)」)の内容と重複する部分もあるが、以下、若干付言することとした。

①佐野氏作品の修正と最終決定に至る経緯

ア 事実経過
大会エンブレムは、各種商標調査を経て、IOCから承認を得た後に正式に決定されるものである。したがって、審査委員会で選ばれる大会エンブレム候補は、当然にこれらの手続を経ることが想定されており、各審査委員に対して配布された説明資料にもその旨が明記されていた。
クリエイティブ・ディレクターは、このように、大会エンブレムが商標登録を前提とするものであるため、初日の審査により選定された14作品について、2日目の審査日の冒頭で、審査委員に対し、明らかに商標登録ができないと思われる作品を指摘した。この指摘は、商標の専門家の意見に基づくものであった。なお、この指摘を受けた作品の中に佐野氏作品は含まれていなかった。
クリエイティブ・ディレクターは、佐野氏作品が審査委員全員一致により大会エンブレム候補に決定された直後、他の審査委員7名に対し、佐野氏作品について商標登録上の問題が生じた場合やIOCの承認を得られなかった場合に大会エンブレム候補として検討すべき次点の作品を決めたい旨申し出た。これに対し、審査委員から、「修正すればよいのではないか。」「1位の作品と2位の作品は根本的に違うので、1位が駄目なら2位のものにするというわけにはいかない。」旨の発言があったこともあり、佐野氏作品を大会エンブレムとして正式に採用できない事情が生じた場合の対応について、明確な方針を決めないまま、クリエイティブ・ディレクターが、「問題が生じたときは、審査委員に説明に回る。」旨発言して、審査委員会が閉会となった。
その後の商標調査の結果、佐野氏作品と類似する商標が発見されるに至ったが、前記のとおり審査委員からも修正で対応するとの意見が出ていたため、マーケティング局長及びクリエイティブ・ディレクターは、2014年12月中旬以降、佐野氏の協力を得ながら佐野氏作品の修正作業を開始した。
この修正作業は、「金・銀・墨・赤といった日本の伝統色」及び「9分割」といった基本コンセプトを維持する方針のもとで行われ、2015年4月初旬までの間に、多数の修正案が作成された。
しかし、この修正過程はクリエイティブ・ディレクターを除く審査委員に一切報告されていなかった。審査委員に対する報告が行われたのは、IOCから承認が得られる見込みが立った同月下旬以降のことであった。審査委員の多くは、提示された修正案を見て、審査委員会によって選定された佐野氏作品(原案)よりも優れたものになったとの好意的な意見を述べ、修正案を大会エンブレムとすることに反対した審査委員は1名だけであった。
同年6月下旬、IOC及び国際パラリンピック委員会側での手続が終了し、同年7月24日の正式発表となった。

イ 調査チームの意見
組織委員会が、審査委員会によって大会エンブレム候補が選定されたときから大会エンブレムが正式決定されるまでの手続における審査委員会の責任と権限を明確にしていなかったことは、不適切であったと認められる。
大会エンブレム選定の責任者であるマーケティング局長は、審査委員会の権限は大会エンブレム候補の選定で完結するものであるという理解で行動していたため、商標登録上の問題から佐野氏作品の修正が必要となった際にも、あくまで修正で対応するのか、次点の作品を繰り上げるのかといった根本的な点について、審査委員会に何ら意見を求めることなく、佐野氏作品の修正作業を進めていった。
一般論としては、審査委員会はあくまで諮問機関であり、最終決定は、審査委員会の選定結果を踏まえて、委嘱者である組織委員会が行うという方法も当然あり得るのであって、この方法自体を不適切ということはできない。特に、前記のとおり、大会エンブレムは、入念な商標確認手続やIOCの承認が要求されるため、デザインの良し悪しだけで最終的な結論を出せないという特質を有しており、応募要項の審査方法に関する記載も「第1次審査、第2次審査を経て内定。IOCによる商標確認等を経て決定いたします」となっていたことからすれば、マーケティング局長の前述の進め方も一概に不合理とは言えない。
他方、審査委員会は、専門的な知見を生かして大会エンブレムの選定を行うもので、実質的な最終決定権限は審査委員会にあるという考え方もある。最終決定までが実質的な審査委員会の権限であるということであれば、商標登録上の問題等が生じた場合、①修正して対応すべきかどうか、②修正で対応するとしても、どの程度の修正を許容するか、③第二位作品の繰り上げ、もしくは他の作品の採用に切り替えるのか、といった判断を審査委員会が決定すべきである、ということになる。
本件においては、最終審査終了時点で、問題が生じた場合には修正で対応するという意見の一致を見ていたものの、②③についてなんら決めていなかった。
結局のところ、組織委員会が、大会エンブレムという極めて重要な事項の決定に関する審査委員会の責任と権限を、明確かつ緻密に定めていなかったという点に問題があったというほかない。

②その他の指摘事項

ア 入選作品を選定する手続の欠如していたこと

組織委員会は、応募要項に8作品を入選作品(賞金10万円)とする旨記載し、これを公表していた。
しかしながら、前記のとおり、2日目の審査においては、2次審査を通過した14作品から、8名の審査委員がそれぞれ最も優れていると考える1作品を選定するという方法を採り、その結果を踏まえて、審査委員全員の議論によって、1位の作品、すなわち、大会エンブレム当選作品を決定することに終始し、1位の作品を決定した後においても、8名程度の入選作品を決めるための手続を行っていない。
応募者にとっては、オリンピック・パラリンピックの大会エンブレムを選ぶためのプロによるコンペティションで入賞を果たしたという事実は、輝かしい実績になったはずである。
応募者は、それぞれが日常業務で多忙な中、多くの時間と情熱を注いでそれぞれの作品を制作していたものと容易に想像できるところ、応募要項で前記のとおり公表したにもかかわらず、8名程度の入選作品を決める手続すら全く行わなかった点は、応募者の期待を大きく裏切り、その労力に対する配慮を著しく欠くものであり、不誠実というほかない。

イ マーケティング局長及びクリエイティブ・ディレクターの基本的姿勢

マーケティング局長及びクリエイティブ・ディレクターが2020年東京大会を成功させたいという熱い思いを胸に秘め、並々ならぬ努力をしていた事実は否定できないが、オリンピック・パラリンピックが国民的事業であり、公正さや透明性といった観点が極めて強く要請される公的なイベントであるとの認識が両名に不足しており、自らがこれまで手がけてきた商業的プロジェクトとの性質の違いを十分に理解しないまま一連の作業を進めたことが、様々な憶測を呼び、組織委員会の運営姿勢や大会エンブレム選定手続への国民的非難を招く結果になったと解される。

ウ 組織運営上の問題点

これまで述べてきたとおり、本件においては、マーケティング局長らが手続の公正さや透明性の重要性を十分に理解していなかったという問題点が認められたが、これは、重大な公益事業を担う組織委員会において、ありとあらゆる場面において公正かつ適正に物事を進めなければならないという根本的な精神を職員間に周知徹底できていなかった結果ともいえるのであって、組織委員会のガバナンスの運用上の問題として真摯に反省すべき事項であると考える。

(5)結び

「最高のエンブレムを送り出すために、小さな不公正を隠れて実行した。」

私たちの身の回りで起こる不祥事の多くが、この手の論理に彩られている。

「大きな目的のために不正を不正と思わない。」「良いものを作るためにとった行動。」

聞き取りの中で繰り返された言葉には、「結果第一主義」にどっぷり浸かった仕事の進め方があった。しかし、手続の公正さを軽視し、コンプライアンスに目をつぶる、なりふり構わぬ働きぶりは、現代のオリンピック・パラリンピック組織委員会には全くそぐわない。

東京2020大会は、一部の人のためのオリンピック・パラリンピックではなく、世論調査で70パーセントを超える支持を表年した国民のイベントにほかならない。思えば、2013年秋、東京にオリンピック・パラリンピックがやって来ることが決まり、組織委員会の立上げ時に繰り返されたのは、「オールジャパン」という言葉であった。「日本が持つ力を結集して大会を成功に導こう」。そんな意図があっての言葉だったはずである。

しかしながら、事はそのように運ばなかった。今回の問題に現れた最も大きな瑕疵は、「国民のイベント」、「国民に愛される大会エンブレムjということに想いをいたさずに、専門家集団の発想で物事を進め、「オールジャパン」に最も大切な層である「国民」の存在を蔑ろにしてしまったところにある。大会エンブレムとして選ばれた作品がどんなに素晴らしいものであったとしても、選定手続が公正さを欠くようなことがあれば、国民の支持を得られるはずがない。

再スタートを切った大会エンブレム選定手続においては、過去の経験を踏まえた上で、多くの人が「私たちの大会エンブレム」と胸を張れる作品を公正に選ぶことが求められている。

4 組織委員会所見

○今回の調査で、参加要請を事前送付した事実と審査過程について、4人の有識者による詳細な調査によって、参加要請についての経緯が明らかになると共に、1次審査において不適正な対応があったことが明らかになった。

○エンブレムは、オリンピック・パラリンピック大会の象徴的な意味を持つものであり、この選定過程において不適正な対応がなされたことは、非常に遺憾である。

○調査チームの指摘のように、これが最終選定に影響を及ぼすものでなかったとしても、エンブレム審査全般に対しての信頼を揺るがせかねないものであった。

○組織委員会は、この調査結果を謙虚に受け止めて、組織委員会のガバナンス改革を以下のとおり実行してしく。

》総長・副総長・全局長が参加する会議体を設置し、組織委員会の重要事項を合議で決定することで、オープンで透明性の高い意思決定プロセスを確保する。
》内部統制を強化することで、組織の垣根を越えた牽制機能が働くようにし、組織委員会内のコンプライアンス強化を行う。
》意識調査、ウェブ・SNSなどによる広聴機能を強化し、国民の皆様の意見・声を聴き、大会への理解・支持を高める。
》国民の皆様に向けたより積極的な情報発信を行う仕組みも整備する。

○また、次のエンブレムの選考に関しては、エンブレムが「オールジャパン」で作り上げていくイベントの象徴である、との基本認識のもと、「透明性」と「国民の参画」を重視し、以下のように取り組んでいる。

》前回の選考時のように受賞歴などで参加資格を制限することなく、小学生などの子供も含め、可能な限り広く国民参加できる仕組みを用意した。
》審査にあたるエンブレム委員についても、デザインや芸術の分野の専門家はもちろん、スポーツ、経済、法律、様々な分野の方々にお集まりいただき、多様な価値観・視点での議論や選考を可能とした。
》応募要項の作成から選考プロセスに至るまで、全てエンブレム委員会で議論し、決定した。
》また、審査方法については、審査の公平性と透明性を確保するため、エンブレム委員会開催ごとに記者会見を行うとともに、内容をホームページで周知するなど、できる限り情報発信し、審査過程についても公開してしく。
》国民参画については、最終候補数作品について、組織委員会ホームページで意見を公募するなど、具体の実施方法を検討。

○改めてとなるが、5年後の大会開催に向けて、より広く国民の皆様に向き合った組織運営へと転換し、それを実現するマネジメントの強化をはかり、東京2020大会を国民・アスリートが主役のオリンピック・パラリンピックとなるよう、準備に全力を挙げていきたい。

以上