IDEA magazine377
2017/4
グラフィックデザインの〈め〉新世代デザイナー21人の姿勢


本特集「グラフィックデザインのめ」はおもに1980年代後半生まれの日本のグラフィックデザイナーたちの実践と思考に光を当てる。SNSをはじめとするコミュニケーション環境の変化に加え,国内外の政情不安や経済の混乱,グローバル化,東日本大震災をはじめとする大災害や五輪エンブレム問題など,価値の転換期のなかに自らを確立させようとしているデザイナーたちはなにを考え,今度どこへ向かおうとしているのか,が大きなテーマとなっている。タイトルの「め」とは,登場するデザイナーのものを見る「眼」であり,各自の運動の中心存在としての「目」であり,地表に顔を出す「芽」でもあり,木目,潮の目といった混沌とした状態のなかに見出される「肌理」であり,ひらがなの「め」が漢字の「女」の草書であるように,漢字文化から西洋文化までそれぞれの時代のグローバル文化に対抗して立ち上がる日本文化の女手=仮名的な属性でもある。これらの含意はそっくりそのまま,彼ら・彼女らの活動から予感される可能性であるとともに,課題でもある。

企画・構成:アイデア編集部
デザイン:ラボラトリーズ(加藤賢策,北岡誠吾)
企画協力:牧寿次郎
撮影:後藤洋平

【寄稿デザイナー】

赤井佑輔 Yusuke Akai
paragram/大阪
www.paragram.jp(準備中)
1988年奈良県生まれ。2011年京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業。在学中よりデザイン用語を元にした楽曲を歌うクリエイティブアイドルユニット「情デKIDS」のボーカルを務め,作詞・作曲などをおこなう。卒業後まもなくgrafへ入社し,グラフィックデザイナーとして活動。2014年に独立しparagramという屋号で大阪を拠点に活動する。2016年より京都造形芸術大学非常勤講師。

阿部寛文 Hirofumi Abe
ベルリン+札幌
abehirofumi.com
1989年札幌市生まれ。2011年札幌市立大学卒業。2011年から2013年まで有限会社3KGにデザイナーとして所属。2014年よりフリーランスとして活動し,2015年ベルリンに拠点を移す。

飯田将平 Shohei Iida
ido/東京
iiido.in
1988年千葉県銚子市生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科を中退後,2011年よりフリーランスのデザイナーとして活動。Amazonにない本だけを集めた仮想ブックショップ『nomazon』や,東京ミッドタウン・デザインハブで開催された「◯◯◯も◯◯◯も◯◯◯も展」の運営など,デザインをとりまく現場にさまざまな形で関わる。2013年には瀬戸内国際芸術祭小豆島エリアでCreator in Residence「ei」に参加。

植田正 Tadashi Ueda
東京
tadashi-ueda.com
1988年奈良県生まれ。2012年桑沢デザイン研究所デザイン専攻科ビジュアルデザインコース卒業,いくつかのデザイン事務所を経て,2014年から2016年まで田部井美奈デザイン在籍,以降フリーランス。クライアントワークの傍ら,国内外の展覧会にも参加。また,「t/a/t/e/n/a/g/a/」というTumblrを用いたブログに日記的感覚で作った趣味のグラフィックを掲載している。

加瀬透 Toru Kase
東京
torukase.com
1987年埼玉県生まれ。2010年立教大学経営学部国際経営学科卒業,2011年桑沢デザイン研究所デザイン専攻科卒業,2015年(有)メルクマール退職のちフリーランス。

小原亘 Wataru Kobara
東京
guskapisca.com
1987年生まれ。2012年多摩美術大学大学院情報デザイン領域メディアデザイン研究修了。修士在籍と平行して,schtücco,neucitoraに在籍。修了とともにフリーランスデザイナーとして活動。

佐々木俊 Shun Sasaki
AYOND/東京
ayond.jp
1985年宮城県仙台市生まれ。2010年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。アドブレーン,グリッツデザインを経て,2016年デザイン事務所AYOND(アヨンド)を設立。

芝野健太 Kenta Shibano
ライブアートブックス/大阪
www.kentashibano.com / www.live-art-books.jp
1988年大阪府生まれ。2010年立命館大学建築都市デザイン学科卒業。2012年よりノマルにて展覧会広報物のデザイン,アートブックや写真集の装丁に従事。2016年に退職し,現在はライブアートブックスに所属。印刷設計者の立場から写真集や美術書籍などの制作を担当する傍ら,デザイナーとしても活動。また,アートブック「辺集」(2015)を始め,同世代の美術作家とのプロジェクトにも多数参加。

杉山峻輔 Shunsuke Sugiyama
東京
www.shunsukesugiyama.com
1985年生静岡県生まれ。大学卒業後,2009年よりフリーランス。グラフィックデザインを中心に,映像,書籍,CD,ファッション,WEBなどを手掛ける。

鈴木哲生 Tezzo Suzuki
日本
tezzosuzuki.com
1989年神奈川県生まれ。2013年東京藝術大学美術学部デザイン科卒,隈研吾建築都市設計事務所勤務を経て,2015年KABKデン・ハーグ王立美術アカデミータイプメディア修士課程を修了。

惣田紗希 Saki Souda
栃木
soudasaki.tumblr.com
1986年生まれ。2008年桑沢デザイン研究所卒業。デザイン会社にて書籍デザインに従事したのち,2010年よりフリーランス。cero,ザ・なつやすみバンド,うつくしきひかり,yojikとwanda,王舟,前野健太等,数多くのインディーズ音楽関連のデザインを手掛けるほか,イラストレーターとして書籍や雑誌を中心に国内外で活動中。

高良真剣 Mahaya Takara
横須賀
takaramahaya.com
1992年神奈川県生まれ,。多摩美術大学グラフィックデザイン学科中退後,2014年よりフリーランス。主にグラフィックデザイナー,フォトグラファー,パーカッショニストとして活動。2016年より,オルタナティヴ古民家「飯島商店 Iijimashouten」を運営。

仲村健太郎 Kentaro Nakamura
京都
www.nakamurakentaro.com
1990年福井県生まれ。2013年に京都造形芸術大学を卒業後,京都にてフリーランス。大学ではタイポグラフィを専攻。展覧会や演劇における広報物のデザインや,書籍のブックデザインなどを手がける。

濱祐斗 Yuto Hama
濱祐斗デザイン事務所/東京
www.hama-design.com
1987年徳島県生まれ。武蔵野美術大学卒業。草野剛デザイン事務所を経て,2012年に濱祐斗デザイン事務所を山口真生と設立。SUBCULTURE,FASHION,ARTを軸に,それぞれの文化を咀嚼しながら,融解させ,新しい表情を探している。ファッションブランドFORM ON WORDSのメンバーとしても活動。主な展覧会に「拡張するファッション」(水戸芸術館,2014),「服の記憶」(アーツ前橋,2014)など。

平野拓也 Takuya Hirano
平野拓也デザイン事務所/山形
takuyahirano.tumblr.com
1987年生まれ。2009年東北芸術工科大学生産デザイン学科卒業。2011年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修士課程修了。アリヤマデザインストア勤務後,大分県事業にて商品開発企画・デザインに携わる。「陸前高田AIRプログラム」のデザインを2013年の立ち上げから現在まで担当。「山形ビエンナーレ2016」デザイナー&アシスタントキュレーター。「さいたまトリエンナーレ2016」の「HomeBase Project」にアーティストとして参加。

牧寿次郎 Jujiro Maki
東京
makijujiro.com
1985年岡山県生まれ。2008年武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。デザイン事務所などを経て,2011年よりフリーランス。主な仕事に,国立奥多摩美術館のデザイン(2012年~)。服部一成と菊地敦己の推薦によりクリエイションギャラリーG8企画展「30年30話」の告知物(2016)。本特集の企画協力(2017)。現在,国立新美術館と森美術館にて同時開催する「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」の告知物を制作中。

三重野龍 Ryu Mieno
京都
mieno-ryu.com
1988年兵庫県生まれ。2011年京都精華大学グラフィックデザインコース卒業。大学卒業後,京都にてフリーのデザイナーとして活動開始。

三宅瑠人 Ryuto Miyake
東京
ryutomiyake.com
1988年生まれ。大学在籍中にÅbäkeでの短期インターンでポスターを描いた後,イラストレーターとして雑誌やファッションブランドをクライアントに活動を始める。同時期からレコードレーベルのデザインを手がけるようになり,以後飲食店や建築事務所,展示告知のグラフィックの仕事もするように。また,小鳥に関する展示等を行うkotoritenを運営している。

安田昂弘 Takahiro Yasuda
世界株式会社/東京
yasudatakahiro.com
1985年愛知県名古屋市生まれ。美術大学卒業後,株式会社ドラフトにデザイナーとして入社。グラフィックデザイン,プロダクトデザイン,デジタルチームNOROSI,ムービーディレクションなど,幅広いプロジェクトに参加。その傍ら個人でもグラフィックデザインや映像作家,VJの活動などを行い2015年に同社より独立。現在はCEKAIに所属し視覚表現を軸に様々な活動を展開している。身長は189.5cm。

𠮷田勝信 Katsunobu Yoshida
𠮷勝制作所/山形
ysdktnb.com
1987年東京都生まれ。東北芸術工科大学在籍中,市場に卸せない野菜を流通させる「やおや」を企画運営(2008),穀雨カフェのスターティングメンバーとして店主&グラフィックを担当(2010)。家業「台所草木染め結工房」のブランディングや玉庭地区里山再生事業・制品部門「技術」の日用品のデザイン等,様々な領域でコンセプトメイキングとそのビジュアライズを行なっている。吉勝制作所主宰,アトツギ編集室共同主宰。

吉松英輝
Hideki Yoshimatsu( hydekick )
hydekick.jp
1991年生まれ。九州大学卒業。デザインエンジニアリングの思考を根底におきながら,グラフィック・ウェブ・映像などのプロモーション展開に包括的に参画し,アーティストのプロモーション案件やイベント企画などでのデザイン・開発を担当している。


【目次】

作品紹介

座談会Part1:インターネットとグラフィックデザイナー
登壇:加瀬透×杉山峻輔×安田昂弘×吉松英輝(hydekick)
司会:ばるぼら

座談会Part2:2010年代のデザイナーの在り方
登壇:飯田将平×小原亘×惣田紗希×濱祐斗×平野拓也
司会:大原大次郎

座談会Part3:日本語と文字デザインのこれから
登壇:佐々木俊×鈴木哲生×牧寿次郎×山田和寛×𠮷田勝信
司会:大日本タイポ組合,アイデア編集部

「協働・共感」のゆくえ
インタビュー:三重野龍×赤井佑輔×仲村健太郎

寄稿者略歴+アンケート

個人的視点:日本のグラフィックデザインへの親近感
文:ライアン・ハーゲマン 訳:熱海綾乃

掲載作品リスト

※本特集はMonotypeの新書体「たづがね™角ゴシック」を使用しております。


Mobile Talk レポート
文・構成:後藤哲也,Saki Ho
訳:Duncan Brotherton
デザイン:Milkxhake(Javin Mo, Saki Ho)

LCCやAirbnb,そしてネットインフラによって,移動はもはや特別なことではなくなった。コミュニティもまた,もはや地に根を張るものだけではなく,オンラインのそれを含む流動的なものとなった。Mobile Talkは,このような移動の時代における流動的なコミュニティを編む試み。本誌で連載されていた「Yellow Pages」を担当した大阪のクリエイティブ・プラットフォームOOO Projectsと香港のデザイン・スタジオMilkxhakeが協働で企画・運営する,今なおダイナミックに変化し続けるアジアの都市を移動(モバイル)するトークイベントだ。
キックオフとなる2016年は,大阪,香港,台北という東アジアの3都市で開催された。テーマは「#Independent/#Collective(個と集合体)」。「個」での活動を軸にしながら,プロジェクトに応じて有機的に「集合体」としての活動を行うデザイナー,アーティスト,キュレーター,編集者などが集い,活動を共有した。また,会場はそれぞれ,現地のクリエイターが自身で運営するスペースを選択。一過性のコミュニティではなく,多拠点化する我々のリアルな場づくりも目指した。
本稿では,その3回のMobile Talkを圧縮し,ゲストとその作品を一覧するファイル形式で紹介する。


組版造形[プレビュー] ケーススタディ:ブックフォーマットとグリッドシステム
モダニズムの系譜 恩地孝四郎 杉浦康平 平野敬子
文:白井敬尚 補注:郡淳一郎
組版書誌:内田明 編集:室賀清徳
デザイン:白井敬尚形成事務所(白井敬尚,加藤雄一,江川拓未)

本記事は今秋刊行予定の書籍『組版造形』のパイロット版である。「組版造形」とは「タイポグラフィにおける視覚造形原理」,つまり「タイポグラフィ」の形がどのような原理で生成し,どのように受け止められるのかを,視覚制御や構造という観点から探ることを意図している。本記事で取り上げるテーマは「ブックフォーマットの形成」の章の一節「ブックフォーマットからグリッドシステムへ」より選ばれた。
※本記事内のノンブルは前後の記事と連続せず独立しております。乱丁・落丁ではございません。


クルト・ハウエルト:バーゼルスクールの支柱
構成・文:ヘルムート・シュミット
訳:山田清美
デザイン:ヘルムート・シュミット,ニコール・シュミット

50年代,60年代のスイス・バーゼルは,エミール・ルーダーをはじめとした教育者たちを求心力に,各国から集まった若いタイポグラファやグラフィックデザイナーたちの集合地点となっていた。クルト・ハウエルトはその中心人物であり,グラフィックデザイナーで教育者,そして感性の優れたビジュアルアーティストである。3月17日よりprint gallary(東京)で開催される「リニエ フォルム クラング 線形響:クルト・ハウエルト」に先立ち,教え子の一人でもあるヘルムート・シュミットがその功績をたどる。


オイゲン・ネアディンガーとリーザ・ベック:グラフィックデザイン史に忘れられたタイプデザイナー/グラフィックデザイナー/デザイン教育者
文・デザイン:イエン・ライナム
訳:大木麻利子
協力:大久保玲奈,大友ひかり,長田年伸

モダニズムを主軸とした近代デザイン史のなかで,ドイツ・デザイン学校史上ほとんど知られることのかった場所がアウグスブルグだ。グラフィックデザインの有用性が盛んに唱えられる一方で,同校ではそうした潮流に反した,純粋な意味での「グラフィックデザイン」教育が行われてきた。その中心的な存在となったオイゲン・ネアディンガー(Eugen Nerdinger)とリーザ・ベック(Lisa Beck)という二人のグラフィックデザイナーに光をあてる。


西野洋とその時代:『西野洋 思考と形象』によせて
文:室賀清徳
デザイン:白井敬尚形成事務所


[連載]写真と画像の分水嶺
第1回 小林健太 写真の条件
文:大山光平


[連載]場所のない言葉│Language Without Place
第2回 アルファベットの隙間
文:スコット・ジョセフ 訳:山本貴光

新書体
インフォメーション
ロエベ クラフト プライズ
エシロール・グラフィックアート月間2016「メイド・イン・ジャパン」展
ブック



お詫びと訂正

『アイデア』377号内におきまして以下の誤りがございました。関係者ならびに読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを,深くお詫び申しあげます。

目次(和文) 
003 特集サブタイトル

誤)新世紀デザイナー21人の姿勢
正)新世代デザイナー21人の姿勢

p. 15
飯田将平/かぐれ 2015 spring-summer ルックブック

p. 22
佐々木俊/映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』ポスター

p. 67
安田昂弘/「The end of watch」作品画像


p. 85-87
p. 18(加瀬透) 作品キャプション
・大恐竜博(名古屋編)リーフレット
・大恐竜博(東京編)リーフレット
・お米は生きている #03 テレビ “TELE-BI” リーフレット

p. 39(鈴木哲生)
作品解説の「リーフレット」の記載

p. 60(牧寿次郎)作品キャプション
・偽ガルシア=マルケス  リーフレット

以上「リーフレット」の記載はすべて「フライヤー」の誤りです。


p. 87
p. 61(牧寿次郎)作品キャプション
・国立奥多摩美術館 リーフレット

誤) リーフレット A4二つ折 / 正) フライヤーA4巻三つ折

・VIDEOTAPEMUSIC『Kung-Fu Mambo』

誤) CDジャケット / 正) レコード


p. 88
p. 70-72(吉松英輝)作品キャプション

誤)
BRDG VRDG#1(p.71),VRDG#2(p.72/下)
B1ポスター/パールフォト紙/インクジェット
AD,D:吉松英輝

正)
BRDG VRDG#1(p.71)
B1ポスター/パールフォト紙/インクジェット
AD,D:吉松英輝

BRDG VRDG#2(p.72/下)
B1ポスター/パールフォト紙/インクジェット
AD,D:吉松英輝,CG:鈴木元紀