IDEA magazine394
2021/6/10
グラフィックデザインの教室 教育・研究・実践の環

IDEA No.394
Published: 2021/6/10
Price: 定価3,300円/3,000+tax jp yen
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グラフィックデザインの教室
教育・研究・実践の環

企画・構成:アイデア編集部
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策,守谷めぐみ)

本特集は,個人デザイナーたちの学びの場となる私塾的なデザインコミュニティを軸に,戦後以降の日本のデザイン教育を振り返った2013年の本誌特集「デザイン特殊講義」(359号)からおよそ10年を経た今,デザイン教育が現代の社会状況をどのように反映し,更新されているのかを問うものだ。

2010年代に入り,デザインという言葉は,一見すると共通項のない「もの」や「こと」をつなぎ,相互作用を引き起こす媒体として,あるいは,領域横断的な視点や思考を示唆する言葉として,情報ビジネスや技術研究の領域など,視覚芸術以外の領域でも親しまれるものとなった。一方で,概念化された「デザイン」がひとり歩きし,あたかも魔法の言葉のように多用される社会においては,産業としてのデザインや,デザインの専門家であるデザイナーの存在価値が,以前とは異なるものに変容しつつある。

こうした社会状況に呼応するように,ここ10年で国内の美術大学やデザイン専門学校では,デザイン系の新学科や新コースの開設が続き,デザイン教育の現場におけるデザイナー像の変化や,デザインの本質に対するあらたな議論を期待させる。そこで,特集では,今デザイン教育の現場で活躍するデザイナーたちを取材し,それぞれの教室を訪ねてみることにした。後半部分では,アジア諸国を中心とした海外のデザイン教育・教育機関の状況や,デザインイベントやワークショップ,教育的メディアなど,ひらかれたデザイン教育を支える人々にも焦点をあてていく。

Chapter 1│それぞれの教室


中野豪雄
1977年東京都生まれ。グラフィックデザイナー。武蔵野美術大学卒業。勝井デザイン事務所を経て,中野デザイン事務所代表。情報の構造化と文脈の可視化を主題に,さまざまな領域でグラフィックデザインの可能性を探る。武蔵野美術大学教授。
nakano-design.com

菅俊一
1980年東京都生まれ。2005年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。人間の知覚能力を基盤としたコグニティブデザインの考え方による行動や意志の領域のデザインを専門としており,近年は,線や点といったわずかな手がかりだけで動きや質感を感じさせるための表現技術や,人間の創造性を引き出すための制約のデザインについての探求を行っている。
syunichisuge.com

水野大二郎
デザインリサーチャー。慶應義塾大学環境情報学部(SFC)准教授を経て,2019年4月から京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab 特任教授。主な編著に『ファッションは更新できるのか?会議人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する』(水野大二郎+ファッションは更新できるのか?会議実行委員会編,フィルムアート社,2015)など。
www.daijirom.com

大原大次郎
1978年神奈川県生まれ。2003年武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。タイポグラフィを基軸とし,グラフィックデザイン,ブックデザイン,イラストレーション,CI,映像制作などに従事するほか,展覧会やワークショップを通して言葉や文字の新たな知覚を探るプロジェクトを多数展開する。
oharadaijiro.com

座談会:デザイン教育をいかに社会にひらくか

司会:アイデア編集部
登壇:加藤賢策,原田祐馬,田部井美奈
構成:松本友也

Chapter 2│地域社会と教育システム

固有の社会制度やコミュニケーションの文化,時代の要求などを反映しながら,徐々にローカライズされてきた近代以降の西洋的なデザイン教育は,今日,アジアの国々でどのように根を張り,アップデートされているのだろうか。本章ではモダンデザインの基礎教育が花開いたドイツにおけるデザイン教育を出発点に,中国,タイ,インドのデザイン教育の今を紹介する。

ドイツ/デザイン教育における自由の意義:HFBKとInter Graphic View


文:サキ・ホ(グラフィックデザイナー)

中国/デザイン教育機関のイノベーション

インタビュー:宋協偉,張欣榮(中央美術学院デザイン学院)

タイ/だれもが教育の担い手となる時代へ

インタビュー:サンティ・ロウラチャウィ(ヴィジュアルアーティスト,キュレーター)

インド/転換するデザイン教育

文:アルプナ・グプタ(学芸員),デビカ・レイ(ライター,編集,コンサルタント)

Chapter 3│ひらかれたデザイン教育

デザインを必要としている環境に目を向け,不足している「もの」や「こと」に気づき,それを補うための方法を考えるというプロセスや行動の仕方は,本来教室の外でも身につけられるものであり,デザインを目的としなくても,多くの人の暮らしや生活を豊かにしていく力となるものだ。本章で取り上げるのは,教育番組,デザインワークショップ,デザイン書の出版流通など,さまざまなメディアを介するデザインの教育普及的な活動だ。デザイン的な視点から人々の日常の中の出会いや発見を促し,デザインの種を蒔こうとする人たちによる,ひらかれたデザイン教育の実践を紹介する。

デザインあ
教育番組の枠を超える,デザイン思考のあそび場


インタビュー:阿部憲子(NHKエデュケーショナル シニアプロデューサー)
デザインあ公式ホームページはこちら

G8 CLUB
体験を気づきに,補助線を設計するデザインワークショップ

インタビュー:原田祐馬(UMA design farm,アートディレクター,デザイナー)

Before the SPREAD
『TM』誌に学ぶ,デザイン誌の可能性

文:梅津直之(オンラインブックストア SPREAD,グラフィックデザイナー)


連載│MIRRORS 鏡の国のグラフィックデザイン
Vol.2:Millennials Part 1

韓国のグラフィックデザインシーンを紹介する連載「MIRRORS」。Vol.1ではインターネット以前と以降を知るX世代のデザイナーSulki & Minの活動を通じて,2000年代半ばから現在に至る韓国のグラフィックデザインシーン隆盛の起点を確認した。Vol.2では,2000年以降に成人を迎えたY世代=ミレニアルズをフレームにしてデザイナー8組を取材。前半となる今回登場するのは,Hezin O(へジン・O),ソン・キム(Sung Kim),Paper Press,そして,Sunny Studioの4組。それぞれの制作物に加え,短いQ & Aと日記から韓国のミレニアルズの仕事と日常を紹介する。また,各デザイナーにタイトルページのデザインも依頼。同じ課題に対してどのようにそれぞれが応答したか,そのアプローチにも注目してほしい。なお,セレクションはSulki & Minのインタビューの中で名前が上がったデザイナーを基準とした。現地取材がかなわないコロナ禍の現在,本連載はSulki & Minのインタビューを起点に,キーワードをピックアップしながら数珠繋ぎ的に取材を展開していく。

構成・文:後藤哲也
デザイン:Sulki & Min,ヘジン・O,ソン・キム,paper press,Sunny Studio
翻訳:後藤哲也
英文校正:ブラザトン・ダンカン


本から環境の設計へ
ori.studioの方法論



蛇腹に折られたページのうえに,日本語と中国語によるテキストが流動的に配置された紙面設計が目を引く冊子「c-SITE」など,立体的で大胆な書籍デザインによりさまざまなプロジェクトを展開するori.studio。現在,中国・北京を拠点とする,カナダ出身のマキシム・コーミア(Maxim Cormier)と中国出身のファン・シューヘン(Fan Xuechen)のふたりによるデザインユニットであり,2018年より出版レーベル「da 大 in print」を立ち上げて以降,インディペンデントな出版活動とデザインで注目を集めている。今年4月,「c-SITE」第3号の刊行を記念して東京のギャラリーThe Whiteを会場にインスタレーション展示を行った彼らは,本というメディアを軸に,より環境への関心を深めている。本稿では彼らの一連のプロジェクトを,メンバーのマキシム・コーミアへのインタビューとともに紹介する。

インタビュー:マキシム・コーミア(ori.studio)


文化を築く装飾系フォントの世界 楽フォントの書体づくり vol. 3

中国の漢字文化を日本語フォントに取り入れ,これまでにない多彩な装飾書体をリリースするフォントメーカー,楽フォント。同社では,チーフデザイナーの丁一のディレクションのもと,1書体9,000文字以上で構成される各書体のフォント化作業を中国山東省を拠点とする造字工房の専属チームの協力のもと行っている。楽フォントの書体づくりに迫る連載第3回では,造字工房との協働について紹介する。

インタビュー:丁一


ヘルムート シュミット タイポグラフィ:「トライ トライ トライ」展覧会リポート
文:室賀清徳

グラフィックトライアル 2020 -BATON- 展覧会リポート

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