IDEA magazine395
2021/9/10
世界設計の方法 ゲーム体験とユーザーインターフェイス


雑誌のオンライン書店,富士山マガジンサービスにて「I LOVE MAGAZINES ! キャンペーン2021」がスタート。
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世界設計の方法
ゲーム体験とユーザーインターフェイス

企画・編集:アイデア編集部
監修:三宅陽一郎
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策,守谷めぐみ)

エンターテインメントの枠を超え,世界規模で人々の心を動かす表現メディアへと進化を遂げたデジタルゲーム。その世界を体験する時,わたしたちプレイヤーにとっての入り口となるのがゲーム画面だ。
 今号の特集では,デジタルゲームにおけるゲーム画面の変遷を,操作性に関わる表現の変化や描画表現の工夫など,グラフィックデザインおける情報整理の手法や,ユーザーインターフェイス(UI)・ユーザーエクスペリエンス(UX)という観点を軸にヴィジュアルに振り返っていく。70年代以降から最新作に至るまで,さまざまな制約や要件をクリアし誕生した歴代ゲーム作品を,ゲーム開発者でありAI研究者としても活躍する三宅陽一郎の監修のもと,幅広く選定した。
 近年では,実世界の位置情報や拡張現実(AR)を取り入れたゲームも登場し,デジタルゲームは現実世界と精神世界をつなぐ境界のような空間として受容され,今後の可能性に業界内外からの注目が集まっている。そうしたゲームの未来にも期待しつつ,本特集では、バラエティ豊かなゲーム世界を,誌面を通じ俯瞰的に楽しんでいただきたい。

序論│70年代以降のデジタルゲームの情報提示構造の変遷
文:三宅陽一郎

三宅陽一郎(みやけ・よういちろう)
ゲームAI開発者。スクウェア・エニックス リードAIリサーチャー。京都大学で数学を専攻,大阪大学(物理学修士),東京大学工学系研究科博士課程を経て,2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。博士(工学,東京大学)。立教大学大学院人工知能科学研究科特任教授,九州大学客員教授,東京大学客員研究員,国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア,日本デジタルゲーム学会理事,芸術科学会理事,人工知能学会理事・シニア編集委員。著書に『人工知能が「生命」になるとき』(PLANETS,2020年)など多数。

Chapter 1マルチウィンドウ・マルチメニュー化するゲーム

ゲーム画面における情報提示はウィンドウ単位で行われるが,ゲーム黎明期には単一だったウィンドウは,現在では複数のウィンドウ(マルチウィンドウ)を組み合わせるかたちとなっている。ウィンドウの中に表示される情報も,かつては文字情報だけであったものが,キャラクターのイラストなどの2Dグラフィックも表示されるようになり,現在ではアニメーションする3Dオブジェクトまで表示される。そして,ゲーム情報を可もなく不可もなくコンパクトに表示し,プレイヤーにストレスなくそれらの情報にアクセスさせることがUIデザイナーの目標となった。本章では膨大なノウハウが存在するゲーム内のウィンドウ表現を軸に,ゲームのUIデザインの流れを振り返る。

Dungeons & Dragons
Wizardry
ソーサリアン
FINAL FANTASY Ⅳ
Detroit: Become Human
東亰ザナドゥ
イース セルセタの樹海
十三機兵防衛圏

インタビュー:日本ファルコム
異種協働で生まれる「手触りの良い」ゲーム 40年かけて培った日本ファルコムのUIデザイン手法

日本ファルコム:https://www.falcom.co.jp

コラム:リアルタイムゲームと非リアルタイムゲームのUI画面設計
文:三宅陽一郎

Chapter 2│2Dから3Dへの変化 ミニマップの利用

デジタルゲームの歴史の中で,最も劇的な変化は1994年を前後とする2Dから3Dへの変化であった。2Dゲームの場合,プレイヤーも開発者も同じ視点からゲームを俯瞰的に見ており,画面の構成もその視点に沿ってデザインされる。しかし3Dゲームでは,プレイヤーが3D空間の中で自由に視点を動かすことが可能になり,それまでの情報提示の仕方が必ずしも通用しなくなった。3D空間の中でなるべく迷わないように簡略化した平面の地図を表示する工夫がされているのである。
 本章では,2Dゲームから3Dゲームへの情報提示の変化をミニマップを軸に検証するため,2Dと3Dの両方でリリースされたシリーズ作品を中心に紹介する。

メタルギア2 ソリッドスネーク/メタルギア ソリッド
スーパーマリオワールド/スーパーマリオ64
FINAL FANTASY VI/FINAL FANTASY VII
世界樹の迷宮

コラム:ゲームにおける地図のデザイン
文:三宅陽一郎

Chapter 33D以降の進化 オープンワールドゲームとスマートフォンゲームの台頭

プレイ画像提供:4Gamer.net

2010年前後からデジタルゲームの分野ではオープンワールドゲームとスマートフォンゲームが台頭するようになる。これまでのように固定された場面というものが無く,オープンワールドゲームではプレイヤーが自由に移動し引き起こすイベントのタイミングに応じてゲーム情報を提示しなければならない。一方,スマートフォンゲームは,ゲームプレイへの敷居が低くなったことで,より幅広い層がストレスなく理解できる直感的でわかりやすいUIが求められるようになった。本章では,ゲーム開発における情報提示の新たな可能性を更新する,オープンワールドゲームとスマートフォンゲームの各作品を取り上げる。

グランド・セフト・オートIII
Ghost of Tsushima
あつまれどうぶつの森
Fate/Grand Order
トロとパズル~どこでもいっしょ~
ウマ娘 プリティーダービー

インタビュー:ビサイド
遊び心の設計 ハードウェアの制約を乗り越えるUIデザイン

ビサイド:https://bexide.co.jp

コラム:人工知能の用いるマップ
文:三宅陽一郎

Chapter 4現実を舞台とするゲーム リアルとデジタルの融合する都市

デジタルゲームは,現実空間とリンクする方向へと発展した。本章で取り上げる作品たちは,旧来のデジタル空間とリアル空間の境界はなく,新しいリアリティが生み出されているデジタルゲームの今後の可能性を示唆する。これらのゲームにおいて,プレイヤーはゲームの中の主人公であると同時に,現実世界における身体をもったプレイヤーとなっている。キャラクターを動かす代わりに,自らの足で動き,自らの手で操作する。デジタル空間が切り拓いたこの空間は,これからの社会の進む方向でもある。

Ingress
Pokémon Go

インタビュー:Niantic
ゲーム世界と現実世界をつなぐ 「場所の力」を活かすNianticのUIデザイン

Niantic:https://nianticlabs.com/ja/

コラム:アーケードゲームのUI画面設計
文:三宅陽一郎


連載│MIRRORS 鏡の国のグラフィックデザイン
Vol.2:Millennials Part 2

韓国のグラフィックデザインシーンを紹介する連載「MIRRORS」。Vol.1ではインターネット以前と以降を知るX世代のデザイナーSulki & Minの活動を通じて,2000年代半ばから現在に至る韓国のグラフィックデザインシーン隆盛の起点を確認した。Vol.2では,2000年以降に成人を迎えたY世代=ミレニアルズをフレームにしてデザイナー8組を取材。後半となる今回登場するのは,MHTL,カン・ムンシク(Moonsick Gang),PRESS ROOM,そしてWORKSの4組。それぞれの制作物に加え,短いQ&Aと日記から韓国のミレニアルズの仕事と日常を紹介する。また,タイトルページのデザインも依頼。同じ課題に対してどのようにそれぞれが応答したか,そのアプローチにも注目してほしい。なお,セレクションはSulki & Minのインタビューの中で名前が上がったデザイナーを基準とした。現地取材がかなわないコロナ禍の現在,本連載はSulki & Minのインタビューを起点に,キーワードをピックアップしながら数珠繋ぎ的に取材を展開していく。

構成・文:後藤哲也
デザイン:Sulki & Min
翻訳:後藤哲也
英文校正:ブラザトン・ダンカン


水丸さんはどうして(こんなに)人気があるのか?

イラストレーションを中心に,漫画,エッセイなど縦横無尽に活躍した安西水丸。2014年に逝去して,今なお新刊の発行や展示が催されるなど,その作品群と人物像は人々の関心を強く引きつける。現在,東京の世田谷文学館では,安西の仕事を振り返る一大回顧展が開催されている。これを機に,安西がイラストレーションや周辺領域に与えた影響を検証する。5つのテーマで読み解くのは,漫画誌『ガロ』の編集者として安西を担当した南伸坊。南は「題材を選び,配置し,構図をとり,描く,そのすべてに水丸さんがしっかりといる」と言う。このように言及される,安西のイラストレーションに内在するアートディレクション的視点がどのように醸成されていったか,その一端を探る。

文:南伸坊
協力:世田谷文学館,クレヴィス
デザイン:山田和寛(nipponia)
illustrated by Mizumaru Anzai © Masumi Kishida


文化を築く装飾系フォントの世界 楽フォントの書体づくり vol. 4

中国古来の漢字文化を日本語の漢字と仮名フォントに取り入れ,これまでにない多彩なフォントの創作に挑戦する新進のフォントメーカー,楽フォント。同社の書体づくりを紹介してきた連続企画の最終回では,この秋リリース予定の5つの新書体を紹介する。後半ページでは,グラフィックデザイナーの加瀬透が登場。新書体をつかった加瀬による誌上ポスターを通じて,装飾書体とグラフィック表現の可能性を探る。

コラボレーション企画:加瀬透


2021年度 D&AD賞レポート

第23回亀倉雄策賞,JAGDA新人賞2021 受賞者決定

インフォメーション

新刊紹介


【プレスリリースダウンロード】

IDEA395_Press_Release(PDF)

*本リリースに関するお問い合わせ,掲載にあたっての事前のご連絡は編集部までお願いします。 


お詫びと訂正

395号内の記載に下記の誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

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p.  56 「メタルギア2 ソリッドスネーク」ページ上部の解説テキスト
誤)2005年にPlayStation 2版,2004年にスマートフォン版(IOS/Android )も発売
正)2004年に携帯アプリ版,2005年にPlayStation 2版も発売

p.  93 「Fate/Grand Order」
中段「*1」の図版番号の位置に誤りがございました。

p.  101 「ウマ娘 プリティーダービー」
中央「*」の図版番号の位置に誤りがございました。