IDEA magazine397
2022/3/10
本との出会いかた 世界のアートブックフェアと流通/コミュニケーション


本との出会いかた
世界のアートブックフェアと流通/コミュニケーション

企画・構成:アイデア編集部
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策,守谷めぐみ)

アーティストブックやZINEの制作者,出版社などが集まり,訪れる人たちと本を介し文化や知識の交換をしながら出版物を販売するイベントであるアートブックフェア。アートブックフェアの特徴は,アーティストや周辺のコミュニティの活動を支援することを目的とした公共性の高さだ。しかし,ここ数年は世界的なパンデミックの影響により,多くのフェアが開催中止やオンラインへの移行を決断したり,ロジスティクスの問題も発生するなどさまざまな課題を抱えることになった。また,オンライン開催により出展者・来場者ともに海外のフェアへのアクセスは良くなったものの,対面でのコミュニケーションへの揺り戻しや,大規模になりすぎたフェアに対しての疑問も少なからず生まれているだろう。
 そこで本特集では,本というメディアから流通/コミュニケーションの意味や方法について考えてみるため,近年新たに始まったアートブックフェアや,欧米のアートブックフェアを参照しつつ独自のコミュニティづくりを目指すアジア各国のフェアなど7つのアートブックフェアに注目。フェアの運営団体に,コロナ禍での開催状況や,フェア出展者の出版物から推薦タイトルを紹介してもらった。さらに,各国のフェアに参加経験をもつ出版関係者たちによる寄稿・インタビューを通じ,アートブックフェアの今日的な役割や,アートブックの流通や保存についての考察も試みている。

Shanghai
Art Book Fair
運営組織名:Bananafish Books

Vancouver
Art Book Fair
運営組織名:
Vancouver Art Book Fair/OCWアーツ

草率季
Taipei Art Book Fair
運営組織名:Double-Grass(草字頭)

アートブックフェアの近年
ボストンからサンフランシスコまで文:クリストファー・スレボダ,キャスリーン・スレボダ

FOCAL POINT
運営組織名:シャルジャ・アート・ファウンデーション

Singapore
Art Book Fair
運営組織名: Thing Books

テンポラリーな本の場所としてのアートブックフェア文:イム・ギョンヨン

Bangkok
Art Book Fair
運営組織名:Bangkok Art Book Fair

Bergen
Art Book Fair
運営組織名: Pamflett

ジッターヴェルクカタログ
本との出会いの集積とアートライブラリー
インタビュー:ローランド・フリュー


答えのない問いの翻訳
「Which Mirror Do You Want to Lick?」
東京巡回展 制作記録

デザインがつくり出す虚構と現実をテーマに,実現しなかったデザイン案や架空のアーティストの作品などを集めて展示するプロジェクト「Which Mirror Do You Want to Lick?(どの鏡を舐めたい?)」の東京巡回展が,2021年10月18日から11月7日にかけて東京藝術大学美術館で開催された。初のアジアでの開催となる今回は,東京藝術大学の学生たちが,キュレーターのアバケ,ラディム・ペスコ,ソフィ・デデレンらとの対話とリサーチ,ワークショップを通じ,これまでの展示作品を日本版に翻訳し,あらたに42作品を制作展示する大規模なプロジェクトとなった。本稿では,東京巡回展のゲストキュレーターであるグラフィックデザイナーの鈴木哲生,東京藝術大学デザイン科教授の松下計,本誌前編集長の室賀清徳の協力のもと,学生たちのリサーチや翻訳作業の過程を記録・紹介していく。

デザイン:鈴木哲生,浅井美緒,佐藤由香,武田栞奈
編集協力:五十嵐央,岩城花歩,岩藤愛実,宇川開,小田部恵流川,加藤皓之進,佐藤由香,新海友樹子,道木ジェイミーロレンス,林春霞
撮影:縣健司

【綴じ込み冊子】
Which Mirror Do You Want to Lick? 東京版

綴じ込み冊子 日本語対訳

文:ベッツィ・ビックル,ジョン・スエダ
編集・デザイン:展覧会キュレーションチーム
イラスト:ラディム・ペスコ,アバケ(Zoomセッション中に制作)
カバー写真:ロバート・ゼメキス『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 1985年より,架空の『プレイボーイ』
写真(p. 111): Frans Masereel Centrum
翻訳:大木 利子


Typojanchi 2021 Report

2013年から継続的にレポートしてきた韓国の「タイポジャンチ (Typojanchi。ジャンチは韓国語「宴」 の意味をもつ)」 が,2021年秋に開催された。タイポジャンチは世界唯一のタイポグラフィ・ビエンナーレだ。2013年からは各回それぞれにテーマを設けたビエンナーレ形式で開催されている。今回のビエンナーレには 「Life」 という壮大なテーマが与えられた。コロナ禍において命やくらしの問題を毎日つきつけられる中,ややもすればシリアスな方向を向くことになりそうなテーマだが,2021年のキュレーターチームはそれを健康や長寿への願いを示す 「亀と鶴」 というテーマに翻案した。人の移動と集まりが制限されたこの困難な状況において,「生命」 「生活」 をテーマにした祝宴はいかに企画され,どのように展示されたのか。ディレクターをつとめたstudio fntのイ・ジェミンに話を聞いた。

インタビュー:イ・ジェミン
文・編集:後藤哲也
翻訳:ブラザトン・ダンカン
デザイン:ユ・ヒュンスン


『世界を一枚の紙の上に』刊行記念鼎談リポート
世界に道しるべを示すために

本誌連載「アトラス考:生態学的世界観の視覚化」をまとめた書籍『世界を一枚の紙の上に』の刊行を記念し,2022年1月に代官山 蔦屋書店にてオンラインイベントが開かれた。著者でデザイン研究家の大田暁雄が招いたのは,進化生物学者の三中信宏とグラフィックデザイナー・教育者の中野豪雄。世界の視覚化をテーマに,それぞれの専門領域に立脚して鼎談が行われた。世界に偏在する多様な情報を読み取って峻別し,いかにしてヴィジュアルとして提示するか。そこには制作者の“ヴィジョン”が不可欠ということが見えてくる。

鼎談:大田暁雄,三中信宏,中野豪雄
協力:蔦屋書店 オーム社
構成:瀬下翔太
デザイン:山田和寛(nipponia)


新連載|CRITIQUE&CONTEXT 批評とコンテクスト

今号から4回にわたり展開される新連載。著者のイエン・ライナムが2020年に発行したZINE『Critique: The War of Design』をベースに,デザイン教育における批評の在り方を考察していく。
 批評は,昔から広く使われているデザイン教育の方法だが,その内容や実践方法はあまり研究されていない。本連載では,デザイン教育の現場における批評の概念,実践,重要性を研究し,批評に関する形式や方法論,文化的側面について掘り下げていく。

文:イエン・ライナム
翻訳:山本真実 


NISSHA & IDEA Collaborative
デジタル印刷の創造力 第2回

前号では,NISSHAが開発に携わった新たなデジタル印刷技術NDP(Nissha Digital Printing)の概要と書籍印刷に用いられた実績などを紹介した。2015年に登場したNDPは徐々に出版関係者に浸透しだしている。オフセット印刷に対するオルタナティブな印刷工法として期待されるNDPだが,実際にその実力はどうだろうか。NDPは広色域の実現や用紙選択の高い自由度などを特長としてもつ。こうした特長を引き出す試みとして,本誌では美術家・横山裕一とグラフィックデザイナー・加瀬透がコラボレーションし,デジタル印刷の可能性を探るプロジェクトを進めている。その一環として,今回はNDPを使ってテストプリントを行い,印刷の仕上がりをレビューする。※NDPの印刷見本綴じ込み

デザイン:白い立体


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