COLUMN
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2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレムを巡る一連の騒動は、現代のグラフィックデザインが直面する問題をさまざまな角度から浮き彫りにした。本企画では現代のデザインをめぐる生産的な議論に向け,「エンブレム問題」に関連する批評的議論や歴史資料を紹介していきたい。(不定期更新)
 

02|JAGDA見解とそれに対する反応

2016.08.17


2016年6月25日に京都で開催された,JAGDA(公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会)総会において,TOKYO2020エンブレム第1回設計競技に関するJAGDAの見解,「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレム第1回設計競技について」(2016年7月28日ウェブ公開)が発表された。

本声明はJAGDAの運営委員会と理事会の合意のもと,全理事,全運営委員が記名に同意した公式見解,とされている。

これを受けて,その内容について以下のような意見も提示された。

(1)平野敬子公式ブログの下記エントリ
「036 イカサマ文書 by JAGDA – vol.1」(2016年7月5日)
「037 イカサマ文書 by JAGDA – vol.2」(2016年7月11日)
「038 イカサマ文書 by JAGDA – vol.3」(2016年7月28日)
「039 事実はひとつ」(2016年8月5日)

(2)奥村靫正による下記意見書
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレム第1回設計競技について」(2016年8月15日)
「経緯 意見書」(2016年10月16日)

平野が「内容を確認せずに信頼性のない文書を承認したとするならば,知らないうちに問題に加担したことになる」と書き,奥村が「本総括文が貴協会会員の総意とされることは看過し難い」と書くように,問題視している箇所は異なるが,本見解の主体のありかや,内容から発表にいたる経緯全体に疑問を呈している。