昭和12年(1937年)に京都のワキヤ書房店主,脇清吉によって創設されたプレスアルト研究会は,広告印刷物やパッケージ,包装紙などの「実物」を,その批評を掲載した冊子とともに綴じ,『プレスアルト』誌として頒布した。関西発の,他に例を見ないこのユニークな広告誌は,多くの広告制作者,グラフィックデザイナーたちにとって貴重な資料であり,次の創作の動力となる大きな刺激となった。

『プレスアルト』誌は,今や20世紀の関西を中心とした広告文化とグラフィックデザイン研究に欠かせない資料である。戦前発行分は調査が進み,復刻版という成果も生み出された。しかし戦後に発行されたものについては長らく掘り起こされることがなく,静かに保管庫で眠り続けていた。本展覧会では,近年整理を進めている大阪新美術館建設準備室所蔵の『プレスアルト』誌コレクションより,1950年代から1970年代までを中心とした戦後発刊分が初めて「開梱」(アンパック)される。これに,大阪府20世紀美術コレクションとサントリーポスターコレクションから選んだこの時代の多彩な広告文化を示すポスター作品を加え,未だ評価の途上にある戦後関西の広告とデザインの新たな魅力が紹介される。

展覧会概要
会期:2018年10月2日(火)-10月13日(土)11:00-19:00 月曜休館・入場無料
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)4階ルーム1
主催:大阪府立江之子島文化芸術創造センター,大阪新美術館建設準備室
企画協力:「黎明期広告業界誌『プレスアルト』広告現物全調査に基づく関西の広告史研究」報告会

記念シンポジウム・報告会
関西広告を開梱(アンパック)する――『プレスアルト』誌というアド・アーカイブ
日時:2018年10月6日(土)13:30-17:30 参加無料・事前申込み不要
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)4階ルーム1
報告者:竹内幸絵(同志社大学),松實輝彦(名古屋芸術大学),輪島裕介(大阪大学),植木啓子(大阪新美術館建設準備室),熊倉一紗(京都造形芸術大学),佐藤守弘(京都精華大学)
主催:「黎明期広告業界誌『プレスアルト』広告現物全調査に基づく関西の広告史研究」報告会,大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco),大阪新美術館建設準備室,民族藝術学会

同時開催
大阪府20世紀美術コレクション 特集:田中一光
会期:2018年10月2日(火)-10月13日(土)11:00-19:00 月曜休館・入場無料
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)4階ルーム2

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